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出発してから2日目

朝早く目が覚めた。思った程体はそんなに痛くないけど、四国の時とは打って変わって涼しい。四国では寝ている間も車の中は蒸し暑かった。ここだと夜冷えてうすら寒かったくらいだ。なるべく早く進みたくてすぐ走り出した。朝は気持ちいいけど、あんまり良い天気ではなかった。グレイに雲っている。

東北自動車道は八戸で終わり、そこからさらに下北半島へと進む。ここからが道も細くなってあまり飛ばすこともできず、時間がかかってしまった。なるべく焦らないようにしながらそれでも北上、午後に大間に着いた。大間と言えばマグロ!有名だけど、ここだったのかー!という感じ。運よく温泉が近くにあったので、そこでまずお風呂に入ることにした。だって昨日はお風呂に入れなかったからね。北海道に入る前にちょっときれいにしたかったのだ。気分もリラックス、下北半島のてっぺん、大間のフェリー乗り場に向かった。

フェリー

道路案内に従ってフェリー乗り場に到着した。いよいよ本州を出るのだ。パーキングにティナ坊を停めてまずチケットを買いに売り場に行く。16時30分のフェリーの券を買うことができた。まだ時間があったので、さっき売り場に入る前にちらっと見えたレストランのような喫茶店のような所に行ってみることにした。というのも、そこにはこの喫茶店とフェリー乗り場の他に何にもなかったからだ。曇っているせいもあるけれど、がら~んとした何だかちょっとさみしい感じのする所だ。その喫茶店でお茶を飲みながら仲良しのR子ちゃんに「今からフェリーに乗るよ~!」なんて電話をした。それから乗り場に戻って搭乗時間を待つことにした。

搭乗口のすぐ前で一人の男の子が地面に座っていた。彼は横にバイクを停めている。「ふう~ん、バイクで走ってるのかあ。楽しそうだなあ。」そんなことを考えている間に搭乗が始まり、ティナ坊でフェリーの中に乗り込んだ時にはちょっと感動した。いよいよ北海道だ!私は上の客席に行って売店を探した。フェリーに乗ったら絶対やりたいことがあった。それはカモメだ。中学の修学旅行で東北に行った時に乗った船の上で、カモメにワカメパンというのをちぎってあげたことがある。カモメが先を争って食べに来て、とても楽しかったのだ。もう一度、カモメにパンをあげたい!ところが、このフェリーの売店ではパンはひとつも売っていなかった。がっくりしたけど何かないか、何か・・・と探してクラッカーをみつけた。よくパーティーなんかでクリームチーズとか乗っける、あのプレミアムクラッカーだ。だれがフェリーで食べるのかわからないけど、塩味だけでシンプルだし、他のお菓子よりは一番カモメに害が少なそうな気がした(でもカモメは野生動物なのできっと餌付けはいけないことなんだと思います。良い子のみなさん、真似しないでね!)。ところが値段を見てびっくり!一箱のクラッカーが結構高い!貧乏旅行だし、自分で食べるわけでもないんだけど、でもずっとやりたいと思っていたので大奮発してクラッカーを買った。

ドアを開けて甲板に出るための通路に出ると、いたいた、カモメがフェリーの周りを飛んでいる。風を受けて結構肌寒いが、こんなにカモメがいるんだし!まずひとつ、クラッカーを割ってぽーんと投げてみた。すると、まるで私がそうするのがわかっていたかのように、一羽のカモメがギューンとスピードアップして見事にぱくっとクラッカーを食べた。「おお~~~!」私は感動して何度も何度もクラッカーを投げた。カモメは一定のスピードでずっと船と一緒に飛んでいて、私が投げるとそのクラッカーの軌道に合わせて身をひるがえし、うまい具合にキャッチして食べる。それはそれは見事だ。上に高く放り投げれば上に羽ばたき、下に落ちてしまえば急降下して着水する前にキャッチした。遠くに行った時もひゅーんと裏返って食べに行き、すぐまた戻ってくる。慣れているカモメは、私のすぐ近くで飛んでほとんど手から食べるような子もいた。それでも、たまにコントロールの悪い私のクラッカーが下に落ちて行き、さすがのカモメも間に合わなくて海にちゃぽんと落ちてしまう時もあった。「あ~~~ゴメン~!!」叫びながら私は次から次へとクラッカーを投げ続けた。

ライダー登場

そんな時、突然視線を感じた。ような気がした。「ん?」と思ってばっと振り返ると、私の左側の少し離れた所にさっきのバイクの男の子が立っている。しかもこっちを見て笑っているではないか!「ぎゃ~~~!!!」私は顔から火が出そうになった。だって大声で「すご~い!今のうまい!」とか、「ああ~落ちた~ゴメン~!」とか叫びながらカモメにクラッカーを投げ続けているのだ。しかも一人で。どう見てもアブナイ女だー!イタイ!

「いつからそこにいたの?!」私は照れ隠しで叫んだ。叫ばないと船の進む風と波の音で聞こえないのだ。

「結構前から見てるよ。おもしろいねえ~アンタ。」

「見てたんなら、声かけなよ~。黙って見られてる方が恥ずかしいよ。」

「あはは~!ねえ、俺にもちょっとやらせてよ。」

「だから早く言えばいいのに。もうこれしかないよ。ほら。」

私は残っていたクラッカーを全部彼にあげた。彼も楽しんでそれを全部投げた。

「すげえなあ~。カモメ、うまいよなあ~。ああおもしろかった。寒いからさ、中入ろうよ。」

「うん、そうだね。」

私は彼の後に続いて中に入った。実はさっき売店で買ってすぐ外に出てきてしまったので、まだ中の客室には入っていなかったのだ。中はじゅうたんみたいなフェルトっぽいのが床に敷いてあって、みんなそこに座ったり寝っ転がったりしている。へえ~こんな風にのんびりできるようになってるんだ~、と感心しながら、彼の隣に座った。

「さっき車、乗ってたでしょ。どこまで行くの?」

「どこって考えてないんだよね。道内を走ろうと思って来たの。最初は海沿いから行こうかなくらいの予定。そっちはバイクに乗ってたよね。」

「うん、そう。俺先月も道内走ってたんだけどさ、どうしても用事ができて青森まで行ってたんだ。でもまだ走ってない走りたい道が一本残ってるから、そこ走りに戻ってきたの。それ走ったら本州に帰るつもりなんだよ。」

「へえ~そんなどうしても走りたい道があるんだ~・・・。で、どれくらいもう走ってるの?」

「俺は日本一周してきて、最後の北海道だよ。」

「ええ~~~!!!日本一周?!すごいねえ!」

すると彼はいとも簡単に「いや、こうやって走ってるとさ、日本一周なんてやってる人いっぱいいるんだよ。みんなそれくらいは走ってるんだ。珍しくないよ。」と言って、笑った。「寝るのはどうするの?ライダーハウスの地図、持ってるの?」

ライダーハウスの地図は、北海道の地図を買った時に本屋さんで一応見つけた。道内を走っているバイクのライダーのための宿で、すごく安くなっている。一番安いのは無料、つまりタダから、大体高くても1000円くらいで泊まれるようになっている宿が道内にポツポツあって、その位置を書いてあるライダーハウス地図というのが売っているのだ。でも私はまた道の駅のお世話になろうと思っていたので、その本は買わなかったのだ。

「持ってないけど。やっぱりライダーハウスに泊まった方がいいのかな?」

「いや、道の駅でも平気ならいいけどさ。一応この辺のライダーハウスの地図少し自分の地図に書き写しておきなよ。いざって時に行けばいいじゃん。もうちょっと奥深くまで行ったら、またその辺でライダーに地図見せてもらって写せばいいよ。ライダーなら絶対誰か持ってるからさ。」そう言って彼は私にライダーハウスブックを貸してくれた。私は急いでなるべくたくさんのライダーハウスを書き写した。

「あ、じゃあこれあげる。」彼がポケットから小さな紙をたくさん出した。鈴木食堂、50円引き券と書いてある。

「これね、鈴木食堂って根室半島の先にあるんだけどね、もしそこまで行ったら、絶対行ってさんま丼食べなよ。すっごいうまいから。そこライダーハウスもやってるから、夜でもたどり着きさえすれば、大丈夫だよ。さんま丼絶対食った方がいいよ。」

「OK、わかった、鈴木食堂のさんま丼ね。」私はその50円引き券を財布にしまった。

そろそろフェリーが函館に到着する。私たちはそれぞれ車とバイクに戻った。

「じゃあね、気をつけてね。ライダーハウス写させてくれてありがとう。」

「うん、そっちも気をつけて。良い旅をね。」

函館港に着いて、彼はバイクで走って行った。考えてみたら名前も聞かなかった。次は私も誰かに「良い旅を」って言おう、と思って私も出発した。やっと北海道の地を踏んだ。

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コメント

博子ちゃんはさ、色々なことをしていて読んでるだけで「楽しそうな人生だなあ」と思うけど、それにしても、すごい記憶力だよね。よくそんな昔のことを細かく覚えているなと感心するよ。おそらく、それくらい楽しい旅行だったんだろうね。旅というのは、色々な出会いがあるし、そのときに良く聞いた音楽を聴くと、その頃の気持ちや考えていたことがよみがえって来たりして懐かしい気持ちになるね。博子ちゃんは旅行中にたくさんの音楽を聴いただろうから、そういった「思い出の曲」が沢山あるんだろうね。

投稿: まさこ | 2006年9月 1日 (金) 13時04分

記憶力は実はそんなに良くないのよ~。だから、記録魔なの。これもね、スケジュール帳に書き込んであるのを見返しながら書いてるんだ。月間スケジュールの小さい四角の中にびっしり書いてあって、結構アブナイよー。日記にすればいいんだろうけどね、それじゃ続かないんだよね。こういう、旅行とか何かあった時に書く、ってくらいがちょうど続くみたい。この北海道旅行の時に使ってた地図には、通った道全部に蛍光ペンでマークしてあったんだけど、残念ながらその地図がうちのお母さんが捨てちゃった!ははは。
音楽と匂いは記憶と結びつくよねえ!「その頃聞いた音楽」って景色がぶわあ~っとよみがえるというか。でも時代が反映されてるから、大学留学時代の思い出の曲とかってバービーボーイズとか年がバレるよ~!

投稿: ヒロコ | 2006年9月 2日 (土) 00時33分

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