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またもや個性派登場

鈴木食堂を出発してから、海沿いを進んだ。今日は天気もあまりよくなくて空も海もグレイだ。釧路湿原はナビントッシュと一度来ているので通り抜けて、そのまま38号線を進む。浦幌というところから、十勝川に沿う形になり、そのまま内陸へと上ることにした。38号線は帯広の街を横に走り抜けて更に上へ。途中、ガードレールのすぐ横に鹿の親子がいたのが目に飛び込んできた。「わあ~っしか、しか!」一人なのに思わず叫んでしまう。だってすごい近くだったのだ。

昔アメリカに留学していた頃、当時付き合っていた男の子の運転する車で夜走っていて、鹿にぶち当たったことがある。鹿よけの笛を車の両サイドに取り付けていたのだが、長距離を走っている間に片方取れてしまっていたのだ。そしてその取れていた方の側から鹿が道路に入ってきたのだ。アメリカの鹿はもっとずっと大きくて、暗闇からぬっと首を出してライトに浮かび上がった時には2人とも絶叫した!「ぎゃ~~!」ハンドルさばきも空しく鹿の角がガツーン!とサイドミラーに当たった。その勢いで車は大きく右に左に振り回され、やっとの思い出で止まった。もう心臓がバクバクで、彼がミラーが割れていないかとそ~っと触ってみたところ、ミラーは割れているどころか、すっぽり落っこちてなくなっていた。それくらいものすごい衝撃だったのだ。私たちはそ~っとバックしてぽとんと落ちているミラーを見つけて拾うと、一目散に逃げた。大きな鹿に当たるとこちらも大事故になりかねないことを初めて知った瞬間だった。その時の鹿はショックで倒れているかと思ったけれど、バックした時姿はどこにもなかった。無事だといいな、とほんとに思った。でもあの衝撃だと・・・脳しんとうだけですんだかどうかはわからない。怪我してたら・・・ごめんなさい。そんなことを思い出した。野生動物に会えるのは楽しいけど結構危ないことなのだ。

富良野

38号線をず~っと走って行って、トマム山の横を走り、とうとう富良野までやってきた。納沙布岬からたどるとかなりの距離を一日で走ったことになる。もうごはん以外はほとんど休憩なしでひたすら走り続けてしまった。どうしてだか、走って走って先に進むことが楽しくて休憩を取る必要を感じないのだ。でも富良野に来てとうとう日が暮れてしまった。今日はここで泊まることにしよう。鈴木食堂で暖かく寝てから、すっかり車中で寝る気がなくなってしまった。寝袋に入っていても寒いのだ。それにライダーハウスでの情報交換がおもしろくて、楽しみになってきたのだ。地図を見て確認してみると、富良野の街中には何軒かライダーハウスがあった。こんな風にライダーハウスを選べるなんてすごい贅沢な気分だ。まず宝来という所に電話をしてみることにした。

「あの、車なんですけど、今日泊まれますか?」

すると、電話に出たおばあさんっぽい声の人が答えた。「ああ車なの?停める場所あるよ。来ていいよ。」

ラッキー!すぐに私は宝来へ向かった。宝来はきれいに十字の道路が縦横する富良野の街中にあって、近くにコンビニもあった。民宿宝来という看板が出ていた。民宿なんだ。始めに道路脇に停めて中に入り、車を停める場所を聞いた。出入り口の目の前に停めていいということだったので、すぐに駐車してから中に入った。やっぱりいたのはおばあさんだった。

「あんたひとり?」

「はい。」

「ライダーは3階でみんないるけど、あんたは2階の部屋ひとつ貸してあげるから、そこで寝な。1000円でいいから。」

「?」どうして2階なのかな?「ライダーがいる部屋は3階なんですか?そっちはいくらなんですか?」なにか違いがあるのだろうか。

「3階は広い部屋で800円でみんな雑魚寝してるよ。」まあ、ライダーにとっては普通だ。

「私もそっちでかまいませんけど。寝袋ありますし。」

するとおばあさんは真面目な顔をしてずいっと私に一歩近づいて顔を覗き込んで言った。「あんたは2階でひとりで寝な。いいかい、男は信用しちゃなんねえ。」

なるほどー!そこで私は理解した。おばあさんは心配してくれているのだ。それがわかったので、素直に好意に甘えることにした。

「はい、じゃあ2階にします。」そしてその場で1000円を払った。おばあさんはうんうん、と頷いて2階の部屋に案内してくれた。階段を上がってすぐの廊下の突き当たりの部屋で、窓もあるし、布団が何組か置いてあって思ったよりも広い。布団部屋かな?と思った。

「布団使って寝ていいから、ここで寝なさい。」

「え~!布団使っていいんですか?」布団で寝るのも久しぶりだ!

「あ~好きにしていいよ。」おばあさんは言い方は荒いけどやさしい。おばあさんはすぐ自分の部屋に消えてしまい、私は下に行ってティナ坊から荷物を運んだ。運ぶ途中、隣の大部屋で男の子が2人、ギターを弾いているのが見えた。自分の部屋に入って一息ついていると、ギターを弾きながら歌っているのが聞こえる。ライダーは3階にいるって言っていたけど、彼らは誰だろう?なんだかとっても気になったし、突然一人部屋ですごくヒマなので、思い切って隣に行ってみることにした。

文ちゃん

「あの~」私は廊下から顔だけ覗き込んで2人に聞いてみた。「混ざってもいい?」

「おお~俺たちも気になってたよ~。今頃一人でライダーハウスに泊まる女の子なんてさー。」2人とも若そうで、よく日焼けしている。部屋はすごい大きくてだだっ広く、反対側の端っこにもう一人布団を敷いて寝ている男の子がいた。こんな20畳くらいある部屋に3人。

「ここもライダーの部屋なの?」

ギターを弾いていた彼が答えた。「ライダーはライダーだけど、俺たちはもうここにしばらく住んでるんだ。長くいるから、特別にこの部屋を貸してもらってんの。」

「住んでる?!どれくらい?!」

「今2年目。」

「ええええ~!」走って来てそのまま住んじゃう、というか居ついている人がいるんだー!かなりびっくりした。でもそう言われてみれば確かに荷物が壁伝いに並べてある。

「ここの一角は俺のエリアなんだ。俺、青虫文太。」

「あおむしー!?あおむしってあの青虫?それって本名?青虫文太って名前なの?!」

「いんや、ほんとは全然違う名前。」全然違う名前って・・・じゃなんで青虫文太って名乗るんだろう???わけがわからない。道内はナビントッシュといい、青虫文太といい、変な通称が流行ってるのか?

「俺さー、最初北海道に来た時、あんまり野菜がうまくてキャベツばっかりバリバリ生で食べてたから、みんなに青虫って名前を付けられたんだ。」

「じゃあ文太は?」

「それも本名は全然違うんだ。」

「・・・・・・なんじゃそりゃ・・・。」

やっぱりライダーハウスは粒揃いらしい・・・。

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