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やっぱり霧の摩周湖

摩周湖に着いた時には、すっかり暗くなっていた。ただでさえ霧の時が多くてなかなか見られないという摩周湖なのに、夜に到着してもどーすんのか・・・。もちろん、なーんにも見えない。摩周湖は山の上にあって、ずっと坂道を登って来たのだが、来る間に帰って行く観光バスと何台もすれ違った。つまり、みんなもうお帰りなのだ。そりゃそうだ。とりあえず上まで行って展望台とお土産屋さんのある所まで行ってみたが、湖なんてこれっぽっちも見えないしすごく寒い。仕方ないのでさっさと降りることにした。降りながら考えた。もう今日はすっかり暗くなってしまったから、早く寝る所を探さないと。これから道の駅を探すか、それとも・・・。道の駅で車の中で寝起きしていたけれども、朝方なんかがとても寒くて結構辛くなってきていた。寒いのでどうしても夜明けとともに起きてしまう。ゆっくり寝ていられないのだ。5時頃には起きて走り始めるので、夕方暗くなるとくたくたである。今日はもうすっかり夜だけどまだ目ぼしい道の駅に到着しているわけでもない。どんどん寝る時間が削られていくのに疲れているし・・・。

ちょっとライダーハウスに行ってみようかな・・・。

ライダーハウスがどんな所か気になっていたし、車中寝袋に変化が欲しくもなっていた。地図で確認してみると、網走がここから近くて、ライダーハウスがある。とにかく行ってみることにした。

初めてのライダーハウス

摩周湖から北上して網走に入った。今日は湿原を通って海に出たが、そこから北上して今度はまた海だ。道内を縦断したことになる。網走に入って街中の地図を見てライダーハウスを探すことにした。

国道と違って街の中は道も細かいし、場所を探すのが難しい。今までの感覚で走っているとすぐに通り過ぎてしまう。だだっ広い場所を走り抜けてばっかりだからだ。疲れた目でうろうろ探し回ってやっと、一軒ライダーハウスを見つけた。と言っても、小さな普通の民家、って感じである。ランプという名前だ。私はとりあえず車を目の前の道路に停めて、建物に近づいた。道路から少し入った所に入り口があり、入り口の手前に所狭しとバイクが何台も停めてある。ライダーはいっぱいいるみたいだ。出口の引き戸を開けて中を覗き込むと何人かのライダーが立って話をしている。

「すみませーん。」

「はい?」ライダーの一人が振り向いた。

「ここライダーハウス?ですよね?泊まりたいんですけど・・・」

「ああ、じゃあそこの角曲がった向こうにもう一軒家があって、そっちにおじさんがいるから、そのおじさんに聞いて。」

私はホッとした。「ありがとう~。」

早速教わったもう一軒の方に行ってみると、そっちはもっと大きくて、民宿のようなたたずまいだ。こちらに比べるとさっきのは一間か二間だけの離れみたいな感じである。さっきみたいに戸口から呼んでみると、松本零*先生みたいなおじさんが出てきた。

「あの、今晩泊まりたいんですけど、車なんです。停める場所とかありますか?」

「車?ああ大丈夫だよ。でもライダーの方がもういっぱいいっぱいなんだよ。あっちはもう寝る所ないから、こっちで良ければ泊めてあげられるよ。」

なるほど、さっきの離れがやっぱりライダーハウスなのだろう。確かにもういっぱいライダーがいたから無理かもしれないが、ここで泊めてもらえるならラッキーだ。

「うれしいです。じゃあこちらで泊めてもらえますか?」

「ああ、入んな。」

ランプ

おじさんはそのまま私を家の中に入れてくれた。中は畳の部屋がいくつかあって、台所があって、私にはその台所とくっついている畳の部屋で寝ていいと言ってくれた。6畳のその部屋にはテレビが置いてあって、ライダーが2人、テレビを見ている。おばさんが台所にいて、他のライダーに何か話している。私はキッチンテーブルの椅子に座ったおじさんに一泊いくらなのか値段を聞いた。

「800円でいいよ。」おじさんは言った。初めてだったのでそれが相場なのか安いのか高いのか全くわからなかったが、どう考えても家の中の畳の部屋で寝られるのに800円は安い!私はすぐ800円をおじさんに払うと、車をおじさんの指定した場所に停め直して、荷物を持って戻り、畳の部屋に座った。畳に座ってテレビを見るなんて何だかすごい久しぶりだ。すると、おじさんがすたすたとこっちに来て私に言った。

「あんた、今ちょうど空いてるからお風呂に入っちゃいな。」

「ええ~!お風呂!!」びっくりだ。「おじさん、お風呂入っていいの?お風呂もあるの?」

「いいよ、まだ入ってない野郎がいるけど今ちょうど空いてるから、みんなが入る前にさっさと入っておきなさい。」

「うれしい~!ありがとう~!」まさか、お風呂にも入れるとは思わなかったので、ものすごいうれしかった。いつも温泉を探してお風呂には毎日入っていたけれど、今日はもう遅かったしあきらめていたのだ。でもまさかここで入れるなんて。ランプに決めて目指して走ってきて良かった!毎日お風呂には入ろう!と決めていた旅だったけどここで記録が途絶えるかと思った。でもまだお風呂運はあるようだ。私は急いでお風呂場に行き、まだ入るの待ってる人がいると聞いたからなるべく早くシャンプーして、でもちょっとゆっくり湯船につからせてもらった。

「ほわあ~~~。」

もちろん、たいていのライダーハウスは自分の寝袋で寝るのが原則である。私も寝袋を畳の上に持ってきたが、私の寝袋はチャックを全部開けると一枚の四角い布団みたいに広がるので袋でも布団としてでも寝られるようになっている。私はお風呂から上がってぽかぽかして、広げた寝袋に入っていると、とても気持ち良かった。テレビを見ていたライダー達は、見ていた番組が終わると、「じゃ」と言って、あの離れに寝に戻って行った。彼らはあっちで大人数で雑魚寝だ。私もすごく眠かったので、もう寝ることにした。おじさんもおばさんも寝に、奥に行ってしまった。

「はあ~~~~。」

ごろんと横になる。久しぶりに平らに寝られる。なーんて気持ちいいんだろう~!首も背中も足もぜーんぶ平らだ!

ちょっと寝入りそうになってすぐ、話し声が聞こえて4人組が入ってきた。また誰かがライダーハウスにたどり着いて泊まりに来たのだ。おじさんが彼らに「もうそこしか残ってないから、そこでみんなで寝てよ。」と言った。私は寝袋から首を持ち上げて見た。女の子2人と白人の男の子2人だ。

「こんばんわ~。すみません、もう寝てるところ。」

「こんばんわ~。今寝たところだから、全然大丈夫。つめようか。」

いきなり、部屋に5人で寝ることになったので、私は端っこに移動した。彼らも車で、貧乏観光旅行中だと言った。2人の男の子も日本語が上手で、私たちはしばらくお互いの紹介をしながら話をした。だんだん話がおもしろくなってきて、寝られなくなってきてしまったが、寝袋に入ってみんなでしゃべっているのなんて、なんだかキャンプか修学旅行みたいだった。今までずっと一人で走ってきたけど、急に今日はたくさんの人と会って話をして、とても楽しい。

「ライダーハウスっていいかもしれない・・・。」

私はすぐにライダーハウスのファンになった。

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