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納沙布岬とライダー情報

彼はストーブの周りに手袋やら靴下やら、色々なものを干し始めた。私は洗濯しても車の中で干して走る風で乾かしているから問題ない。でもバイクは確かに洗濯物をはたはたひらつかせて走るのは無理だから、大変だろう。思い出したように、彼が言った。

「納沙布岬はもう行った?」

「ううん、とにかくここに来なきゃと思って、どこにも寄ってないよ。」

「俺も。ちょっとさ、見に行かない?」

「えー?今?」

「そうだよ、だってすぐそこだし。」

夜の観光地もちょっとおもしろそうだなと思ったので行くことにした。

「じゃあ、行ってみよっか!」

「よし!」

2人でそのまま勢いよく外に出た。外はかなりな雨と風でもう暴風域だ。風があるから体感温度がすごく寒い。

「ぎゃあ~~~!」人間は寒いとどうも叫んでしまうのは本当だ。

「さ、寒い~~~!!!」「ぐわあ~~~!!!」「ひゃあ~~っ」バカみたいに口々に叫びながら、海が見える場所まで全速力で走った。あたりは真っ暗で、もちろん明るいコンビニなんてなくて人も自分たち以外に誰もいない。ちょっと走るとすぐ納沙布岬に出た。そこには観光用に看板があって、「日本最東端」と書いてある。

「おお~!日本最東端だー!ダメだー寒いー!」2人で笑いながら叫んだ。「帰ろう!」

ダッシュでプレハブに戻り中に入ってドアを閉めた。風と雨の音がちょっと遮断されただけですごく静かに感じた。ストーブに駆け寄って手をこすり合わせた。まだ体がブルブルしている。

「いやあ、寒かったねえ。」

「うん、でも見れたよ、岬。」

「あーおもしろかった。」寝袋にこたつみたいに足を入れるとほっとひと心地ついた。

「フェリーはどこから乗ってきたの?」彼が聞いた。

「私は、なるべく陸路で来たかったから、青森まで来て、大間フェリーに乗ったよ。」

「おお~俺も!でもさ、他の道は平気なんだけど都内がわかんなくてさ、首都高抜けるのに迷っちゃって6時間もかかったんだよ。」

「ええ~!」私はぶったまげた。6時間走ったら相当の距離を進むことができる。それを迷うことに費やしてしまったなんて!「でも確かに私も首都高とかほんとにダメで、東北自動車道に乗るまで友達にナビしてもらったんだよね。」

「いいよなあ~車は。そういうところも余裕だよなあ。バイクはさ、孤独なんだよ~。走ってる間は誰ともしゃべらないでしょ。だから、ライダーハウスに入ってから、ほんとはみんなすごい話したいんだけどまだ最初は照れとかがあって、でもそのうち誰かが耐え切れなくなって地図とか出して「どのルートで来たの?」とかって始まるともうみんなわあ~~ってしゃべり始めるんだよ。」

「そうだろうね。昼間ずっと一人で黙々と走ってるんだもんね。」

「うん、だから夜ライダーハウスでしゃべるの結構楽しみなんだよね。今日も一人じゃなくて良かったよ。」

「あ、そうか、私が来なかったらここでも一人だったんだね。じゃあ昨日ランプでどんな話してたの?」

「昨日は面白かったよ~。」彼はすっごい笑い始めた。「原チャリライダーがいてさ。」

「げ、原チャリ?!」

「そうだぜ~原付でず~っとペケペケ走ってきたんだよ。でも、一定のスピードしか出ないから、ゆっくりのんびり走って来て日が暮れたら止まる、みたいな旅で、俺ちょっとうらやましかったよ。そんな旅もいいなあって。やっぱりつい走っちゃうからさ。」

「でもさ、スピード違反とかで捕まらない?そんなに飛ばしてるわけじゃないの?私なんて函館着いた途端に切られちゃったよ。道内ってキビシイんだね。」

「ちがうよ~。」彼は笑って言った。「あそこはさ、みんなフェリー降りてやっと道内に入った~!って喜んでつい飛ばしやすいんだよね。で警察もわかってて、みんなあそこで待ってるんだよ。で、次々捕まるわけ。第一まだ街中で一本道とかじゃないから、そんなにスピードオーバーしてなかったでしょ?目立ってたわけじゃなくて待ち伏せされてるんだ。だからあそこはいつもにも増して気をつけてゆっくり走らないとダメなんだよ。」

「えーー!そうだったの?!」早く言ってよ、と突っ込みたい。これを北海道に入る前に聞きたかったー!がっくり。

「ま、洗礼だと思ってさ。みーんな切られてるから。」

「なるほどねえ~・・・。」

「ライダーハウスでそういう情報も一緒に聞くといいよ。結構役に立つよ。でもさ、話戻るけど原付よりもっとすごいのもいたぜ。」

「な、なに?」

「ママチャリライダー。」

「ぎゃははー!それはもうライダーじゃなくなってるんじゃないの?しかもスポーツ用とかじゃなくてママチャリなんだ。」

「うん、俺が会ったのは、すっげえ若いやつでさ、高校生くらいかな、朝いきなりチャリンコ乗って、そのままずっと走り続けて来ちゃったんだって。」

「そうなるともう・・・なんか違う境地だね。」

「うん、すげえよ。バイクはさ、孤独だけど、チャリンコライダーは根性だよ。全部自分だもんな。」

話を聞いて私は自分がどれだけ楽に走っているか思い知った。雨も当たらない、ヒーターも入れられる、荷物も重い思いもせず持てるしどこでも寝られる。何と言っても運転してる間はシートに座ってるだけなのだ。目とか肩とかは確かに疲れるけど、この広大な景色の北海道の中をチャリンコでひたすら走り続けるというのはどんな気持ちなんだろう・・・。便利にしたくて荷物を多く持てば自分が重い。少なければ楽だけど不便がいっぱいだ。それにちょっとした坂も車じゃ全く感じないけどかなり辛いだろう。一体一日でどれくらい進めるのかな・・・。

「いやあ、色んな人がいるねえ。」

「そうだよ、ほんとおもしろいよ。」

「ねえ、今まで走った中でどこが一番良かった?」私は大体みんなにこの質問をしていた。

「俺?やっぱり屋久島だな。あそこは全然違っててすごかったよ。あんまりバイクで走れる環境じゃないから、島の中では走ったって感じじゃないけど、感動したなあ~。」

また屋久島だ、と思った。フェリーライダーも屋久島が一番だと言っていた。そんなにいい所なんだ・・・。むくむくと、ものすごく行ってみたくなってきた。

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