従業員のはなし。

ロビちゃんとふたりでホテルを経営し始めて4年目。従業員も良い人たちでずいぶん落ち着いた。現在はレセプションにいてくれているパキスタン人のN。ハウスキーピングにバングラデシュ人の兄弟、JとW。お掃除全般にバングラデシュ人のN。彼らをまとめるのがロビちゃんの弟のN(N多いね)。そして現在ロビちゃんのお姉さん夫婦の一番上の息子(つまりうちの子供たちのいとこのお兄ちゃんだね)がレセプション業務のトレーニング中である。以前はその働きぶりがどうも思わしくない従業員もいて私が衝突したりしたこともあったけど、今いてくれているみんなはとても良く働いてくれていて、私も「いい従業員に恵まれたなあ~」と安心している。

そんなある日、従業員のJがうちの仕事を辞めてリゾートに働きに行きたいとロビちゃんに相談してきた。私もロビちゃんも何か他にやりたいことがあったら遠慮なく行っていいよ、とは前から言っていた。まあ、私もロビちゃんもそうやって色んな仕事をしながら色んな仕事に渡り歩いていたからね。私もそりゃーたくさんのバイトをした。人生で履歴書を何回書いたかわからないくらい。長期のも短期のもやったり、かけもちもした。自分のバイト歴で忘れてるのもある(^^;)人に言われて「そういえばそんなのもやったっけねえ!」と思い出したりする。モルディブに行ったのだって、それまで5年間していた仕事をしながら面接を受けて採用されたから行ったのだ。そのとき所属していた事務所の社長は快く送り出してくれた。ロビちゃんはずっとリゾートホテルで仕事をしてきているけど、それでもホテルの中で職種を変えてほぼすべての仕事を経験した。若い頃はハウスキーピングの下積みから、ホテルというよりは体育会系のウォータースポーツ指導員までやり、レストラン勤務から最終的にはワインソムリエになった。リゾートホテルもいくつも移動した。だから、誰にもトライしたいチャンスはあるわけだし、うちで働いてくれているのは本当にありがたいけど何かあったらそっちに行ってもいいよ、という方針でいつも従業員に話をしていた。

うちは大抵のマーレでの仕事ならどこよりも良い給料をあげているし、従業員の住居もきれいなところを提供している。普通、マーレで働いているバングラデシュ人やネパール人などの労働者は過酷な仕事条件の上に安給料で、ひどいところは給料を払わないところもある。使うだけ使って給料は出さない、ポイ捨てみたいなところがとても多い。しかも住むところは汚い小さな部屋に10人くらいで足の踏み場もないような環境で寝ていたりもする。もちろん衛生的にもすごーく劣悪だ。うちの3人のバングラデシュ人の従業員は3人で一部屋でちゃんとベッドで寝ている。パキスタン人のレセプショニストはモルディブ人女性と結婚してマーレに住んでいる人なので家がある。仕事も屋外の肉体労働に比べれば楽だし、きちんとシフトで休みもある。3年間働いて1日も休みをもらってない、なんて人はざらにいるけど、うちは1年間働いたらきちんとAnual Leave(年間休暇?)もあげていて、自分の国に里帰りできるようになっている。まあつまり、自画自賛するわけじゃないけど、他に比べたら良い仕事場なんじゃないかなと思っている。従業員も「他には行きたくない」と言って働いてくれていた。

従業員のJは以前マーレ市内のレストランで働いていて、そこに比べるとすごくいいと言ってくれて、満足して働いていると思っていたので、最初何かあったのかな?と思った。ロビちゃんが話を聞くと、どうやらうちの倍の給料を出すとオファーされたらしい。まあ、倍となると誰でも行きたくなるよね。うちで働いてくれて3年、そろそろ慣れも手伝って自分でも物足りなくなってくる時期だろうし、きっと何か他のことにチャレンジしたくなったのかも。それで給料倍なら気持ちも揺れるよね。今まで「良いチャンスがあったらどうぞ」と言っていたから、真面目で働きもののJが抜けるのは惜しいけれど、仕方ないね、と私はロビちゃんに話した。でもロビちゃんは「それならいいんだけどねえ」と言う。どうも胡散臭い話なのらしい。彼が仕事に誘われたリゾートの名前を聞いたけれど、ロビちゃんも他の誰も聞いたことがない名前らしいのだ。まあ今は古いリゾートを改装して新しい名前の新リゾートとしてスタートさせる所が多いので、これからオープンするリゾートとも言える。でも大体、名のあるきちんとしたリゾートをオープンさせるなら改名するにしてもその経緯は耳に入ってくるんである。ロビちゃんもリゾートでずっと仕事してきた人だから、「今度どこそこの島に誰々の系列のグループが新リゾートオープンさせる予定なんだって」というような風の噂がちゃんと回ってくるんである。もちろんすべてに精通してなくても、なんとなく、というような相関図がある。それが、聞いたこともないところなのだ。

「大体さ、これからオープンするリゾートだったら土木建築作業の仕事に決まってるじゃん。いま作ってるんだからさ。すっごく大変だよ。並みの人じゃできないよ」

確かに、私たちが働いていたヒルトンも途中で改装してコンラッドになったわけだけれど、その間は建築作業の仕事になるんである。ホテルスタッフでそのまま建築作業も手伝ってる人もいたけど、建築中はホテルは営業してないわけで業務はないから仕事がないわけだ。リゾートホテルは良い給料がもらえるから働きたい人も多い。良い仕事は辞める人も少ないからポストは少ない。リゾートで働いた経験のないバングラデシュ人に急に良い仕事をくれるところはほとんどないんだよね。だからリゾートで働くと言っても改装のための建築作業員としてこき使われるだけで、普通のリゾートの業務じゃないんじゃないか。ロビちゃんは従業員Jにとにかくどういう仕事内容なのか、建築作業なんじゃないのか、よく確認するように言った。レセプションのパキスタン人Nもちゃんと調べてから行動するように言った。ロビちゃんの弟も口酸っぱく忠告した。J本人の弟でうちで働いてくれてるWはとにかくとめた。でもJは「行ってみたい」と言うので、それなら、とみんなで送り出した。

Jがリゾートに行って2日目、弟のWのところに電話がかかってきた。

どうやらやっぱりキツイ仕事だったらしい。

何をやらされてるのかは知らないけど、Jが期待していたようなのとはずいぶん違ったんだろうと思う。

Jは自分の弟Wに電話で「戻れるように(ロビちゃんに)なんとか話をしてもらえないかな」と頼んだそうだ。Wは「兄さんが自分で出て行ったんだから自分で話しなよ。僕から頼むなんていやだ」とつっぱねたらしい(^^;)

次にJはロビちゃんの弟に電話をかけて、ロビちゃんのスリランカの番号を教えてほしいと頼んだ。ロビちゃんの弟はロビちゃんのスリランカ用の携帯ナンバーを教えてからロビちゃんに電話をかけてきて「きっとJから電話かかってくるよ」と教えてくれた。

ほーらねー・・・・・・(-_-;)

だからみんながあれほどだまされてるんじゃないか、って言ったのに~・・・・・・。ちゃんと調べなよ、って言ったけど、彼はちゃんと調べたんだろうかね・・・・・・。

もうロビちゃんとあーあー・・・・・・とため息をついた。

さて、ここからは処遇をどうするか、なのだ。

Jはすぐに電話をかけてきて、うちに戻らせてほしいと頼みこんできた。ロビちゃんはじゃあ考えるから、と言ってまず電話を切り、それからひとりひとり他の従業員の意見を聞くことにした。私はまあ、かわいそうだしうちでもすごくよく働いてくれていた人だからまた戻ってきてもらってもいいし、と思っていた。それからロビちゃんの弟と電話で話した。弟は「俺があんなに止めたのに行くんだもんなーもう知らないよ」と怒っていた。次にレセプションのNと電話で話した。彼は「あんなに全員が忠告したにもかかわらず自分で行って、たった2日で戻って来たいなんて早すぎる。これで受け入れたら他の従業員も好きに行動してまた戻って来ればいいやと思ってしまうから、戻さない方がいい。まあ戻ってきていいと思っていても、今じゃなくてもう少し経ってから、どうにもならなくなってまた連絡してきたときでも遅くない」という意見だった。なるほど。彼は「これで受け入れたらボス(ロビちゃん)もマダム(私)もやさしすぎます。今まで良い環境で仕事してこれたのに出て行ったのは自分なんだから」とこれまた怒っていた。今回はロビちゃんがコロンボに来ていたのでみんなで会議というかたちじゃなくて電話でひとりひとりの意見を聞けて、逆に従業員がどう考えているのかがわかってなかなか良かった。まあ、Jの弟のWは一所懸命働いてくれてるわけだし、ここで突き放してもまたJも戻ってくるだろう。Wが「兄ちゃんが自分でやって。僕はいやだ」と言ったのも彼の気持ちがわかってとてもよかった。というわけで、ロビちゃんとみんなの意見を吟味した結果、ほとぼりがさめるまで置いておくことにした。

もちろんJは、「彼がこの先もやる気があって、しばらくしてまたうちに戻って来たいと言ってきたら考えよう」という救済案が用意されていることは知らない。ロビちゃんが「自分で新しい仕事に行ったんだから、うちは受け入れられないよ」と言ったらとても焦って、「今までの給料の半額でもいいから戻らせてください」とメールをしてきた。うーん・・・給料倍につられて結果半額でもいいから、って本末転倒な気が・・・(^^;)それにしてもいったいどんな仕事なんだろうね・・・?2日で根をあげるって・・・。ロビちゃんいわく、「あの暑い中で一日中建築の仕事だよ。普通できないよ。すっっっごい大変だよ」と・・・。欲に目がくらむって怖いですねー。さて今回の教訓はなにか。「足るを知る」ですかな(^-^;)「自分のケツ(失礼)は自分で拭く」かな?とにかくがんばれJ!戻ってくるなら成長してこーい。

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モルディブ大使館オープン

日本にモルディブ大使館ができました!

昨日はその記念祝賀会に行ってまいりました。

そうなんです、今までモルディブ大使館はなかったのですね。そして先週、私のブログにコメントが・・・。検索して探してくださったのか、「日本在住のモルディブ人全員に祝賀会に来てほしい」というモルディブ大使のご要望で私達も招待していただきました。はじめはロビちゃんの仕事があって行けないと思っていたのですが、ロビちゃんの上司がお休みをくれました。今ゴールデンウィークあけでレストランもヒマなんだって。

そして昨日は一家4人でホテルニューオータニへ行ってきました。麻生外務大臣もいらっしゃっていて、なかなか盛大なパーティーでした!でもスピーチが続くなか、子供たちは待てずに食べる食べる・・・・・・。きっと昨日のビュッフェでデザートに置いてあったイチゴはほとんど全部子供たちで食べてしまったと思います・・・。すみません。

でも昨日はメールだけだった日モカップルに何組も会えてうれしかったですよ!メールではやりとりしてたから、オフ会ってこんな感じかな~と。日モカップルキッズたちも勢ぞろいでにぎやかでしたー!娘は仲良しのリーちゃんやルーちゃんとも会えて、すっごいうれしかったみたい。アっちゃんとも結構遊んでたね。

最初乗り気じゃなかったロビちゃんもたくさんのモルディブ人とディベヒ語でしゃべって楽しそうだったよ♪帰りに「なんだかおもしろかったね。」って言ってました。行けてよかったね!それにしてもずいぶんたくさん日本にモルディブ人いるんだなあって思ったけど、でも考えてみたらあの部屋に入りきっちゃうんだもんね。やっぱり全体数で見たら少ないのよね。モルディブで仕事をしていた頃にお世話になった方にも久しぶりにお会いして懐かしかったです。ミリオネアを見た~と覚えていらっしゃった方も!

そして昨日初めて会った日モカップルの奥さんのディベヒ語のうまさにビックリ!なんでみんなあんなにしゃべれるのー?うちはロビちゃんが日本語ペラペラになったので今やほとんどすべて日本語で話しているからね~私のディベヒ語は成長しませんよね~。最初は全部英語でコミュニケーションをとっていた夫婦だったのに、途中から段々日本語に移り変わっていってすっかり日本語主流になったのだから不思議ですねえ。これからモルディブに引越したら今度は私がディベヒ語を勉強してまた移り変われるといいなあ。結局何語で話してもいいんですよ、うちの夫婦は。何語でも変わらないことと言えば、私がしゃべりたいことを勝手にじゃんじゃん話して、いつもロビちゃんに「ねえ、聞いてるっ?」「聞いてるよ!」ってやりとりしてることですねえ。

パーティーが終わって家に戻ってきたのは11時過ぎ。いつも9時に寝るうちのちびっ子たちは限界に挑戦。眠くて疲れてすっかり機嫌が悪くなった娘はあんなにビュッフェで食べたのに「おうちで夜ごはん食べるー!」と言って大泣き。外でごはん食べても家に帰ったらごはん、と思っているみたいです。なので仕方なくおにぎりを作り、娘が食べれば息子ももちろん一緒に食べたいと騒ぐので二人に食べさせ、支度をして寝たら12時過ぎちゃいました。すっごいスペシャル夜更かしだったね。そのせいか息子は今日お昼ごはんももそこそこに昼寝しちゃいました。おかげでこうやってブログが書けるんだけどー。

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ファイナルアンサー~!

私がみのさんが座っている椅子の向かいのセンターシートに座り、周りのスタッフがばたばた準備を完了して、「はい、本番いきまーす!」と声が響いた。

ジャーンジャンジャンジャーン♪照明が上下にグワングワンと動いて大きな効果音が鳴った。ライトが私とみのさんを照らす。

「あなたの人生を変えるかもしれないミリオネアにようこそ。」みのさんがにっこり笑って私に言った。「今日の応援はどなたですか?」

「私の夫です。」カメラがロビちゃんを映した。私は振り返って後ろの応援席にいるロビちゃんを見た。ロビちゃんは案の上、すっごい緊張してるのが見て取れて、「ヒロコ、がんばれ~~~!」と言ったけど、顔は無表情だった。私はちょっとおかしくなってしまった。

「だんなさん、どちらの人?」みのさんが聞いた。

「モルディブです。」

「あら、津波、大変だったんじゃないの?」さすがはみのさん、こちらが何か言う前に聞いてくれた。

「実はそれで伺わせていただいたんです。」私はこれまでの状況をかいつまんで説明した。ロビちゃんもまだこの頃はつたない日本語ながら、一所懸命説明した。この時のビデオを見ると、本当にロビちゃんは今、日本語が上達したなあと思う。最近では、時々まるで日本人みたいにしゃべることもある。

「それでは、クイズに参りましょう。」

早速クイズが始まった。最初の方は皆さんもご存知の通り、簡単な問題だ。ところが、あのセンターシートに座っているとどんな問題でも答えることに不安になってくる。もしかしてとんでもない勘違いをしてるんじゃないか?と自分に自信がなくなるのだ。でももちろん自信があろうがなかろうが答えるしかない。

そしてわりとすぐに歴史問題が出題された。ぎゃ~出た~!と私は心で叫ぶ。もちろん、まったくわからないので、オーディエンスを使ったら会場の皆さんはほとんど答えを知っていたのでまたもやびっくりした。これって歴史問題じゃなくてもしかして常識問題?とも思ったけど、素直に従ってなんなく歴史問題を切り抜けた。もう~会場の皆さんに感謝。

そんなこんなでなんとか250万円まで、やってきた。250万円に挑戦のクイズは、「ジョン・レノンが殺された場所」だった。今から考えれば、なんであんなにわからなくって迷ったんだろう???と思うような問題なのに、あの時は真面目にわからなかった。私はオノ・ヨーコさんの自伝的エッセイも読んだことがあって、とてもおもしろい独創的な考え方にすごく感動したのだ。なのにあのセンターシートに座っていたらそんなこと全部どっかにすっ飛んでいっちゃっていた。まるきりわからなかったので、テレフォンを使うことにした。テレフォンは本番ではモニターに映るわけではないので、出演者はテレフォンの人たちの顔を見ることはできない。声だけ聞こえてくる。

「今、250万円に挑戦です。」

「250万だって!!」「え~~!!」「わあ~!」叫んでる母や姉弟の声が聞こえる。

「それではどうぞ。」

「ジョン・レノンが亡くなった場所はどこ?!」私は4つの都市の名前をすばやく読み上げた。「どれ?!」でもうちの家族はイマイチ音楽には詳しくない。知ってるかなー!!

案の定、テレフォンのメンバー=うちの家族は向こうで悩み始めた。

「え~・・・えっと~・・・。」ぎゃ~~~やっぱりわからないんだあああ~!!そしてあっという間に30秒!

「BかD!!」そう姉が叫んで終わってしまった。みのさん爆笑。

こうなったら、堅実にいくしかないので、フィフティ・フィフティも使うことにした。ここで間違えたらもう意味がない。するとラッキーなことに、ひとつは絶対違うだろうう~というのが残ったので、消去法でもうひとつのニューヨークにした。決心したとはいえ、みのさんに「ファイナルアンサー?」と聞かれると怖くてなかなか言えない。でも・・・・・・。

「ファ~・・・ファ、ファイナルアンサー!」半ばやけで言い放った。もう戻れない。いや~~どうしよ~~~!

でもここで長~いタメの後、みのさんが「正解!」と笑顔で言ってくれてほっと一安心。もう胎教にいいんだか悪いんだか。後から考えたら答えはニューヨーク以外にないよねええ。アホです。

さ、次はなんと500万円に挑戦。しかしこの問題が全然聞いたこともない問題だった。一応英語の問題なのだけど、言葉の由来なので全然わからない。勘では、Aしかないだろうと思うんだけど、500万を勘で答えてしまうのが恐ろしい。スタッフさんは事前に「**さん、テレビだからって無理して答えなくてもいいですよ。**さんにはやっぱりお金を持って帰ってもらいたいので、いつでもドロップアウトして大丈夫ですからね。」と言ってくださっていた。私もぐるぐる考えたが、ここで間違えてしまったら半分以下の100万円になってしまうし、100万じゃ家は建てられないので、挑戦するのが正直もったいなかった。今なら250万持って帰れる。

私は決心してみのさんに言った。「ドロップアウトします。」

みのさんはにっこり笑って「そうだよね。」と言ってくれた。そして「ちなみに、答えはどれだと思う?」

「Aだと思います。」

「・・・正解!」

ぎゃ~~~~~!賭けてれば500万だった・・・・・・・・・。でも、でも、250万ゲットした。とりあえず家は建てられるし、日給250万円だ!いいよね?

収録が終わった後、他の出演者の皆さんが「良かったね。」「一番必要な人のところにお金が行ったね。」と言ってくださった。他の方達も挑戦したかったのはみんな同じなのに、私とロビちゃんのために喜んでくださったのがとてもうれしかった。娘に携帯のストラップやお菓子をくださったり、とても良くして頂いた。

そして家路についた私とロビちゃんと娘。帰りの電車の中で一日を振り返った。

「始めはさ、100万でも10万でももらえるならうれしいって思ってたよね。それが250万だもん、すごいよね。がんばったよね!」

「そうだよ。でもさ・・・。」

「何?」

「500万、取れたのにね。欲しかったね。」ロビちゃんが笑って言った。

「うん、惜しかったー!」

やっぱり人間、欲はキリがない(^^)。

「惜しかったけど、ヒロコがんばったよ。十分だよ。」

窓の外のお台場の夜景を見ながら、缶のお茶で二人で乾杯をした。

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ミリオネア~~~!

さあ、本番。

何度も出演者全員で練習した自己紹介と意気込みをまずやらなくては。番組の最初にみのさんが名前を連呼して、それに合わせて「絶対とるぞ~!」とか叫ぶやつだ。ディレクターさんが来てにこやかに言う。「さあ、みなさん、大きな声でいきますよ~!」ADさん達が観客席を盛り上げる。「はい、拍手~!」

そこでスタッフの声が響いた。「みのさん、入ります~!」みんなの歓声の中、ネクタイを自分で少し直しながらみのさんがスタジオに現れた。スタッフが急いで駆け寄り、ちょこっと説明をしている。またディレクターさんの声が響いた。

「それでは、本番いきまーす!」

ジャーン、ジャンジャンジャーン♪

いつもの効果音とともに本番が始まった。みのさんのおなじみのナレーションからスタートし、その日の芸能人三人の紹介、それから私達出演者の一人一人の叫び自己紹介が始まった。私も「がんばりまーす」かなんかを言って、無事にすみ、いよいよ最初の早押しクイズになった。これだ。この早押しでできなければ。

問題がモニターに映し出される。最初の問題はとっても簡単ではっきり言って知らない人はいない問題だったのだが、私は焦って押し間違えた。慌ててクリアボタンを押して間違えて入力した答えをキャンセルし、もう一度答えの順番のボタンを押したつもりだったが、いざ画面を見てみると・・・ABCDのうち三つしか表示されていない!「えっなんで?!」焦ったのもつかの間、もちろん間に合わなくてその早押しはダメだった。

まあいいや、毎週大体三人くらいはセンターシートに座ってるから、後二回はチャンスがあるはずだ。私はそう思って一人目の挑戦者のクイズを楽しんで見ることにした。

さて、第二問目。この早押しも大体わかったのでボタンを押したのだが、今度は途中で迷ってクリアボタンを押し、もう一度答えを入力すると・・・またもや三つしかアルファベットが入力されていない!ここで愕然とした。もしかして、私・・・センターシートに出られないのかな?

二問目を取ったのはその日の芸能人だったので、エピソードや番宣も含め、結構長いクイズになった。私はそれを見ながら、もう後は一回しかチャンスがないと確信した。時間的にも後一人しかないだろう。

次の早押しの前のちょっとの休憩の時、私は一番近くにいたスタッフに二回ともアルファベットが三つしか表示されなかったんだけど、と聞いてみた。すると彼はすぐにディレクターさんの所に行き、それを聞いたディレクターさんは確実にするためにもう一度早押しの練習をしましょう、と言ってくれた。そこで全員で練習してみると、今度はなんなくABCD全部表示された。私はクリアボタンを押すと、最後に押した答え一つだけが消されるのだと思っていたのだが、どうやら全部一回消えてしまうらしいのだ。なるほど、と納得した。それなら、次は絶対一発で間違えないように打てばいいのだ。

最後の三問目の早押しになってもう~私は久しぶりにド緊張した。でもこれでできなかったらもうあとがない。やるしかない。問題がパッとモニターに出たのを見た瞬間、ぐわあ~~自分やるしかない~!と心の中で叫んだ。問題はアニメの題名で放映順に並べろ、というものだった。私はちょっとヲタク気味なので、これなら簡単にわかる!私は絶対間違えないように慎重にボタンを押した結果、時間がかかって秒数は遅かったが、やっと、なんと、一番になることができた。あ~~~センターシートだ!!

モニターに私の顔が映し出され、みのさんが@秒、**ヒロコ~!」と私を紹介してくれた。私は席を立って歩いてみのさんの前まで行き、握手をした。もう~~~本当に本当にうれしかった。ここまでくれば後は時間制限がないからゆっくり考えることができる。もう焦らなくていいのだ。みのさんと一緒に並んでいると照明がまぶしかった。

「はい、休憩入りま~す!」一声でスタッフがわ~~~っと動き始めた。センターシートに水の入ったグラスを置く人、なんだかわからないけど忙しく走っている人、センターシートに座った人の応援者用の席に移動するロビちゃん。音声さんが私にマイクを付けるためにやってきて一目見るなり、「出演者ワンピース!マイクお願いします~!」と叫んだ。すると女性の音声さんがすっ飛んで来て、「こっちへ」と私を裏へ連れて行った。マイクはバッテリーみたいな小さい箱をベルト部分に差し込むのだが、私がワンピースを着ていたのでそれを付ける場所がなかったのだ。そういう時はワンピースの下に簡易ベルトを巻いてそれに付けるのだが、さすがに男性はできないので女性を呼んだのだ。セット裏でワンピースをべろんと持ち上げて、女性音声さんにベルトを巻いてもらった。私はその時妊婦だったので「ウエストなくてすみません。」と照れ隠しを言った。服を着てたら目立たなかったけど、だって本当にずんどうだったから。すると彼女は「いえいえ。今までも妊婦さんは三人くらいいらっしゃいましたけど、皆さんいいところまで行かれましたよ。運があるんですよ。」と励ましてくれた。確かに妊婦は懸賞やくじに当たりやすい、というのは有名だ。「ありがとうございます。がんばります!」私はセンターシートに向かった。

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いざ本番へ

さて、勉強がちっともはかどらないながら、電話では担当者と毎日のように打ち合わせをしていた。自分達の状況、テレフォンには誰を呼ぶか、など書かなければならない書類がたくさんあった。その中の項目に、「本番当日のベビーシッターの必要有無」というのがあって、「これは!」と思って早速担当者に電話をして聞いてみた。私がクイズに行ってロビちゃんが応援席に行くと、娘を見ていてもらう人がいないからだ。

「あの、ベビーシッターって書いてあるんですけど、これって頼めるんでしょうか?」

「ああ、もし必要でしたら、こちらでご用意いたしますよ。一緒にお子様にも控え室まで来ていただいて、本番中はそのまま控え室でベビーシッターさんに見ててもらえます。」

「では、ゼヒ!お願いいたします!」

「はい、わかりました。」

一番の悩みはあっさり解消された。さすが、フジテレビのゴールデン番組だ。困っている所に手が届く!これで安心してロビちゃんと娘と3人でフジテレビに出かけることができる。

テレフォンには私の母と姉と弟、そして私の友達にも話をしていたのだが、弟の友達が来てくれることになった。これで、なんとか準備は整った。本番の日はすぐにやってきた。

リハーサル

本番の日、私とロビちゃんと娘は3人でお台場に向かった。ちょっと早く着き過ぎて、フジテレビの近くにあるマクドナルドで朝ごはんを食べたりした。

時間になってフジテレビの建物に入ると、ミリオネア出演者は1階のロビーで待つように言われた。ソファには他の組がたくさん座っている。中には本を見ながらブツブツ勉強しているおばさんもいる。わあ~ここまで来てからも勉強してるんだ。やっぱりこれくらいしないとダメかな・・・。私は不安になった。だって歴史はちっとも頭に入っていないままだ。そんなに付け焼き場でできるわけないよね。

すると、若い女の子がこちらを見て近づいてきた。「あの、**さんですよね?」

「はい?そうですけど。」

「私、今日のベビーシッターです。よろしくお願いします。」

「ああ~!あなたが!助かります~!こちらこそよろしくお願いします。」

彼女はとてもやさしそうな女の子で、うちの娘はすぐに好きになってくれた。

それから担当者がやってきて全員控え室に通された。控え室の端っこには畳が2畳敷いてあって、娘とベビーシッターさんはそこで座って遊べるようになっていた。すっかり彼女がかまってくれているので、私とロビちゃんは本番前の打ち合わせや他の出演者のみなさんとの自己紹介をスムーズにすませることができた。そして一度リハーサルで実際のスタジオに行くことになった。

控え室からスタジオに行く時は娘が気づいて泣かないように、ベビーシッターさんが気をそらしてくれていたので、私とロビちゃんは他の人たちと一緒にこっそり控え室を出た。

スタジオでは本番で座るのと同じ場所に座り、段取りの説明を受けてから、最初の早押しクイズの練習をした。この早押しができなければみのさんの前に座ることはできないので重大である。スタッフももちろんわかっていて、できるだけ慣れられるように何度も練習問題を出して10回くらいやらせてくれた。この練習で、早押しで一番になった回数が一番多かったのはなんと私だった。ま、なんといっても切羽詰まり方が違ったかもしれない・・・。

リハーサルが終わって控え室に戻り、「娘はもしかして泣いているかも・・・」と思いきや、ベビーシッターさんとケラケラ遊んでいた。笑顔で「あっママ、おかえり~!」と言われてびっくりしたけど安心した。やっぱりベビーシッターさんはプロだなあ~と感動した。後は本番を待つのみだ。

本番

いよいよ本番の時間がやってきた。またリハーサル同様、私とロビちゃんは他の出演者の方々に混ざってこっそり控え室を出た(他の人達はこそこそしてません)。娘は夢中になって遊んでいる。本番はちょっと長いので心配だけど、まあ大丈夫だろう。娘のお気に入りのものはたくさんお弁当箱に入れて持って来てあった。まだこの頃は娘も話がそんなにはっきりしていなかったので、ベビーシッターさんに説明もしておいた。「いこと、と言ったらいちごのことです。あと、キリと言ったらクリームチーズ(キリはメーカー名ですね)、それからお弁当には入っていませんが、トゥンと言ったらおしゃぶりです(トゥンはディベヒ語でおしゃぶり)。」という具合。これでなんとか本番2時間もってくれれば、である。

本番でさっきと同じ席に座るとなんだかものすご~く緊張してきた。ロビちゃんは応援者席に座っている。でもロビちゃんの方が私より100倍は緊張してる。だって顔がこわばっている(笑)。そしてとうとう本番が始まった!

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出演までこぎつけろ~!

ミリオネアの録音メッセージに連絡先を入れてから一週間くらいたったある日だった。

電話に出た弟が受話器を持って私の所まで来て、小さな声で繰り返した。

「ミリオネア!ミリオネア!来た!」

え?こんなに早く?私はびっくりして受話器を受け取った。「はい、お電話変わりました、**ヒロコです。」

「あ、こちらクイズミリオネアです。今回はご応募ありがとうございます。早速ですが、今このお電話で一次クイズをやらせて頂きたいのですが、お時間は大丈夫でしょうか?10分くらいかかるかもしれないんですが。」

「はい、今大丈夫です。お願いします。」時間は大丈夫だけど、気持ちは全然大丈夫じゃない。ドキドキしてきたが、声はがんばって平静を装った。

「では、今から口頭で10問クイズを出させて頂きます。それにすぐに答えてください。もしわからなくても、必ず何か答えてください。では、よろしいですか?」

「は、はい。」

それから彼女は10問クイズを出して、私は必死に答えた。クイズは色んな分野からまんべんなくという感じだった。半分くらい知ってる問題で、半分くらいはわからなかった。でも10問終わった後に、彼女は言った。

「はい。以上で終わりました。今の正解率で一次クイズ合格です。次は最終審査にお越しください。」

「は、え、え~っ!本当ですか?!良かったあ~!」

スタッフの彼女は最終審査の日時と場所を言って、電話を切った。私は何だかあっという間の出来事で呆然だった。

「なに、どうなったの?」弟が来た。

「一次通ったって。今電話で口頭クイズやったの。結構わからなかったのもあったんだけど、最終審査に来てくださいって。」

「へえ~すごいじゃん。で、どんなクイズだったの。何がわからなかったの?」

「え~っと、イチローの背番号はいくつですか?ってやつ。」

「で、なんて答えたの?」

「55番。」

「惜しいなあ~そりゃゴジラだ。」

「ギャオ~ス!!」

「よくそんなんで通ったなあ~。」

まったくです。

最終審査

最終審査の日、ロビちゃんに仕事を休みにしてもらって、娘を家で見ててもらい、私は一人でミリオネア制作会社のビルに向かった。雨が降っていてと~っても寒い日だった。

ビルの中に通されて待合室に入ると、他にも最終審査を受けに来た人がいっぱいいた。テーブルについて、まずたくさん筆記クイズをやった。150問くらいあって、こんなに筆記で頭をひねるのはものすごく久しぶりだった。昔のテストを思い出したけど、内容はやっぱりクイズなので芸能とかもあれば歴史、地理、音楽、芸術、とにかくなんでもありだった。さすがにそれだけの量をいっぺんにやるとすごく疲れた。大体育児と妊婦生活でち~っとも頭を使っていないので余計だ。

筆記クイズが終わると今度は順番に面接があった。ここでやっとどうしてミリオネアに出たいのか理由を聞いてもらえる。これならもうドキドキしないですむ。私はテストとかは苦手だけど、面接なら仕事でいつもオーディションに行っていたし、すっかり慣れている。どうしても出たい意気込みもあるし!

自分の番が来て呼ばれた部屋に入ると、スタッフが何人も座っていた。勧められた椅子に座るとすぐに中央の人があいさつをした。

「本日はお越し頂きましてありがとうございます。それでは、**ヒロコさんの出演理由と、賞金を何に使いたいかを聞かせてください。」

あらかじめ、理由を説明できるものを持って来てくださいと言われていたので、私はネットからモルディブの津波被害写真をプリントアウトして持って行った。それを見せながら、モルディブ人と結婚して日本に住んでいること、夫のロビちゃんの実家の島が大きな被害を受けたこと、実家が今は住める状態ではなくしかも家財道具もすべてなくなってしまったことなどを説明した。家はもう壊すしかないので、賞金で家を建てたいのだと言った。スタッフの方達はびっくりして聞いていた。そして私の説明が終わると、さっきの人が言った。

「そういうことなら、ぜひお手伝いしたいと思います。すぐの出演にしましょう。でも、クイズだけはどうしようもありません。**さん、勉強してください!**さんの回答結果を見てみても、強い方面と弱い方面がありますね。でも強い所はかなりの正解率ですから、あとは弱点の勉強です。何が苦手ですか?」

私は実は歴史がめっぽうダメなのだ。「歴史ものが弱いんです。」

「歴史は絶対出ますよ、出演すぐですから、なるべく勉強してくださいね!」

「はい・・・・・・。」もう不安たっぷり。でも出演できるのは本当に良かった!うれしい。

この面接のあと、またもや追加50問の筆記クイズをやらされて、家に帰った。合計200問!いやあ~疲れた。

次の日、私は娘を連れて市の図書館に行った。娘にはいつもの絵本コーナーで好きな絵本。私は、歴史の本を探すことにした。自分が飽きてしまわないように、「マンガ日本史」とか、「マンガですぐわかる!歴史!」とかマンガの歴史本をたくさん借りた。こうなったらやるしかない。でも元々興味がないので、ちっとも読み進められない(>_<)なかなか頭に入ってこない。も~今更歴史の勉強なんてムリだ~!

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とにかくやってみる?

ミリオネアは、毎週見ていた。

ロビちゃんにとってはびっくりする番組だった。毎週10人の普通の人たちが出てきて、クイズに答えるだけで、お金をもらえる番組なのだ。モルディブでは国が作ったテレビ局がひとつあるだけで、あとは海外のテレビを受信して見ている。大体はインドのMTVや映画、BBCとかのケーブルのニュースであまりテレビの種類は豊富ではない。ケーブルならつなげば受信できるので、日本のNHKのBSとかも見られるけれど、さすがにミリオネアみたいなクイズ番組はない。しかも賞金がかなりの大金だ。だって最初の方の10万だって、単純計算でも1000ドルである。挑戦して間違えて100万になってしまっても、そんなのぽんともらうには大金だ。

それに、クイズ番組というのは家で見ていると答えがわかったりするものである。私もよくミリオネアを見ながら「違うよ~これはCだって~!」とか、「ああ~なんで知らないの~Aに決まってるじゃ~ん!」とか言っていた。それを見てロビちゃんは私には簡単なのだと思っていたらしい。以前から「ヒロコも出てみなよ。」としょっちゅう言っていた。でも私はいつもふざけて「そうだよね~出れたらどれくらいまでいけるかな~。」と本気にしていなかった。でもロビちゃんは本気だったのだ。

「ヒロコ、今しかないよ、ミリオネアに行こうよ。どうやったらあそこに行けるの?」

「え~!マジで~?でも・・・・・・確かに、たとえ10万でももらえるならうれしいよね。でも・・・ほんとに本気?私なんかが行けると思う?応募した方がいいと思う?」

「だってヒロコいつもテレビ見て答え言ってるし、絶対行けるよ!今行くしかないよ。あれはどうやって行くの?」

「さあ~・・・。確か番組で”参加したい方はこちら”みたいなテロップが出てたと思うんだけど。メールとかファックスとか何かあるんだと思うよ。じゃあ今度の木曜日見てメモしてみようか~。」私もちょっとその気になってきた。だってとにかくなんでもやってみる価値はあるし、今は緊急事態なのだ。私は妊婦だし娘もいるし、どうやっても今は働けない。みのさんに頼るのもいいかもしれない。

さて木曜日にミリオネアを見てみると、”参加したい方はこちらにお電話を”と電話番号が書いてあるだけだった。私は何通りか応募の仕方があるのかと思っていたので電話だけというのにちょっとびっくりした。でもそれをメモした。

「ロビちゃん、電話しかないみたい。」

「じゃあ電話しよう、今。」

「ええ~~~いまぁ~~。」

「そうだよ、ほら。」

ロビちゃんに押されて私は電話してみた。かなりドキドキしたが、出たのはみのさんの声の録音メッセージだった。

「よう~こそミリオネアへ!」とあのみのさんが歓迎してくれて、連絡先を入れるように、と言うので、住所と電話番号、フルネームなどの連絡先を入れたら、それで終わりだった。なんだ・・・人が出て理由を聞いてくれるわけじゃないんだ・・・そりゃそうだよな・・・。ちょっと私はがっかりした。連絡先だけじゃあ、かなり不安が残った。

「ロビちゃん、連絡先を入れろって録音のみのさんが。それだけ。」

「いいよ、とにかく応募したんだから、待ってみよう。」

しかし、不安とは反対に連絡はすぐにやってきたのだった。

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家族無事確認!

朝まで一晩中ニュースを見て泣いていたロビちゃんは、会社に電話して、「頭が痛いので休ませてください。」と言って仕事を休み、またず~っとニュースを見続けた。電話もかけ続けたけど、何もわからなかった。

マーレにいるお兄ちゃんや弟とは携帯にかければ連絡が取れた。でも実家の島はマーレからはスピードボートで3時間かかる距離で、普通のドーニと呼ばれる船では10時間はかかってしまう。まだ誰も様子を見に行って戻ってきた人がいないから、まったく連絡が取れないのだ。

不安なまま一日が終わり、そんなに仕事も休めないので、ロビちゃんは会社に行った。会社では、津波があってモルディブも被害があり、ロビちゃんが急に休んだのでみんな何かあったのだとわかっていた。同じ職場の人がみんな心配してくれて、元気のないロビちゃんを気遣ってくれた。そんな状態のまま、一週間がすぎた。ニュースですごい津波の映像を見る度に私達は震え上がった。モルディブはちょっと遠いからあんなにひどくはなくても、海抜がとても低い島々なのでひとたまりもなさそうだ。ただ、島のある場所によっては全然被害のなかった島もたくさんあったので、なんともわからない。

ちょうど一週間たった日に、やっと実家の島の様子がわかった。首都のマーレから実家の島まで行って戻ってきた人達が報告してくれたのだ。

実家の島は大きな波が来て大体大人の肩くらいまで水に浸かったのだそうだ。島では流されたりおぼれたりして、16人が亡くなった。でも、亡くなった人達の中にロビちゃんの家族は一人もいなかった。マーレに戻ってきたロビちゃんの妹の話によれば、ちょうど津波が来た頃に、他の島の親戚に会いに、船の上にいたのだそうだ。津波は波打ち際や陸にいると被害や破壊力がすごいが、沖にいると船はなんなく乗り越えてしまうものらしい。ロビちゃんのママや妹は、船の上でまったく津波に気がつかなかったそうだ。そして島に戻ってみたら、津波が去ったあとで何もなくなっていたらしい。

私達は本当に涙を流して喜んだ。他の亡くなった方には申し訳ないが、ロビちゃんの家族は全員無事だった。本当に本当に不幸中の幸いだった。まだ直接連絡が取れなくても、みんなが無事だということを聞いて、まずはほっとした。それまでは、ロビちゃん一人だけでもモルディブに行こうかと話していた。でも緊急だし、お正月あけてからでも飛行機のチケットはものすごい値段だった。でもこれで一安心した。

みんなが無事だというのを聞いて、私とロビちゃんもちょっとは落ち着いて物事が考えられるようになった。実家は水に浸かってしまい、壁にヒビも入っていて危険でもう住めないらしい。しかも家財道具一式はすべて流れて行ってしまって、家の中はからっぽになってしまったそうだ。みんな島の住人は、とりあえず政府が運んでくれたテントを海岸に張って、そこに避難しているという話だった。

「どうしようか・・・。」私とロビちゃんは悩んだ。ちょうどその時私は2人目を妊娠中で貯金もそんなにないし、これから出産や色々と自分達でもお金は必要だった。でも、避難テントで暮らしているママ達を思うと、何かしたいと思った。でも一体どうしたら・・・・・・。

すると、ロビちゃんが私の顔を見ていとも簡単そうに言った。

「ロビ、やっぱりあれしかないよ。」

「?あれってなに?」

「あれ、ほら、いつもテレビで見てるやつ。お金もらえるクエスチョンのやつ。」

「もしかして・・・・・・ミリオネア?」

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スマトラ沖地震

スマトラ沖地震はまだみなさんの記憶にも新しいでしょう。

その地震が起きたニュースを私は知らなかった。うちは自営業なのだけど、その日は定休日で店は閉まっていたし、母は出かけていて、私は子供と2人きりだった。電話が鳴ったけど、店と家の電話が一緒なので、休みだしと思って出ないで留守電にしていたらモルディブのディベヒ語が聞こえてきた。急いで受話器を取ると、ロビちゃんのお兄ちゃんだった。

「お兄ちゃん、なに?ロビちゃんは今仕事でいないんだけど。」

「ああ、ヒロコ、ひどいよ、水がすごいんだ。」

「水?」

「そうだよ、マーレ(首都)に水がいっぱい来たんだ。」

「???」私にはなんのことかさっぱりわからない。しかもお兄ちゃんは英語があんまり得意じゃないので、お兄ちゃんとの会話はディベヒ語だ。私のつたないディベヒ語では無理があった。「お兄ちゃん、とにかくロビちゃんが帰ってきたら電話するように言うからね。」と言って、私は電話を切ってしまった。

しばらくすると、また電話がかかってきて、「もしもし~?**いる~?」と今度は留守電から母の友達の声が聞こえてきた。私が急いで受話器を取ると、そのおばさんが慌てて「ヒロコちゃん?テレビ見てる?だんなさんの実家大丈夫?」と聞く。「なに?おばさん、何の話?」「やだ、知らないの?テレビすぐつけて見て!地震よ、大きい地震があって津波がおきたの。モルディブも被害があったみたいなのよ。」私はそれを聞いて青ざめた。地震?津波?だってインド洋には津波なんて来た事あったっけ?さっきのお兄ちゃんはこの津波のことを言っていたんだ!私はこともあろうことか、その電話を切ってしまったのだ!

慌ててテレビをつけても日曜なのでなかなかニュースをやっていない。私はケーブルTVにして、CNNをつけた。そこには、インドネシアのスマトラ沖地震のこと、周辺とインド、スリランカ等に大きな津波の被害があったことが報じられていた。でもまだ起きたばかりで情報が少なく、キャスターももっと情報が入り次第すぐにお知らせしますとばかり言っている。それにひどい被害のインドネシア、インド、スリランカのことは出てきても、モルディブのことはなかなか出てこない。

仕事からロビちゃんが帰ってきた瞬間に、玄関で私はロビちゃんに叫んだ。「ロビちゃん、どうしよう、モルディブに津波が行ったよ!インドネシアで大きな地震があったんだって。お兄ちゃんが電話かけてきたんだけど私わからなくて切っちゃったよ。お兄ちゃんにかけて!」ロビちゃんも走って居間まで行き、CNNを見ながらすぐに、まず実家の島に電話をし始めた。実家の島では、大体みんな家に電話はついていなくて、島に4つある公衆電話にかける。電話が鳴れば近くにいる誰かがそれを取り、各家には名前がついているので、「**家の@@を呼んできて。」と言うと呼んできてくれるしくみになっている。家々に電話が普及する前に、携帯を持つ人が増えたから、家に電話は必要ないのだ。

ロビちゃんはまず家に一番近い電話にかけたけれど、電話自体がつながらない。その他の3つの公衆電話にかけても、どれも同じでかからなかった。この、島の公衆電話が4つともつながらないことが、平常ではないことの証拠だった。「あ~平気だったよ~」と、誰かが電話を取ってくれたらと思っていたけれど、その願いも空しく、私達の不安は一層深まった。

すぐにロビちゃんは首都にいるお兄ちゃんの携帯にかけた。お兄ちゃんは携帯に出て一部始終を話してくれた。首都のマーレにも津波は来てマーレ中が水浸しになったこと。実家の島は電話がつながらなくて、様子がまったくわからないこと。モルディブはひとつひとつ小さな島なので、電話が通じなければ、誰かがそこまで行かないと状況はわからないこと。もちろん実家の島にも携帯を持っている人はたくさんいるけど、どれもつながらないとのことだった。

ロビちゃんは電話で話してCNNを見ながら、ポロポロ涙を流し、「ママが死んじゃったかもしれない。」と泣いた。私も泣いた。そして2人でず~っと一晩中CNNを見続けた。

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どうしてモルディブ?

よく人に「どうやってだんなさんと知り合ったの?」と聞かれます。

私は以前一人暮らしをしていて、展示会のナレーターやイベントのMC,ステージ通訳なんかをしていました。その仕事は始めて丸5年で、だんだん大きな仕事の話が来るようになったり、オーディションも受かるようになったりして、結構安定してきていました。猫も飼っていたし、彼氏もいなくて、仕事して友達と飲んで食べての楽しい日々。すると出てきた私のサバイバル魂。つまり何かに必死になりたくなったんですね~。もちろん仕事で必死になる場面は多々あったけど、イベントは短くてすぐ終わってしまいます。(だから良いってのもあったんだけど)う~んそろそろ日本を出て仕事したい・・・。と考えるようになりました。やっぱり母国語が通じない場所で生活するってことは大変なんだけど、それと引き換えの達成感が並じゃない!あの充実感をもう一度!

そこで、英字新聞「ジャパンタイムス」の購読を始めました。読めば通訳の勉強になるし、週一回の求人欄がなかなかGOOD!これで次の仕事何かないかな~と見るのが毎週楽しみ。でもほとんどの求人には「NATIVE ENGLISH」と書いてあって、それで私は断念。だってネイティブじゃないんだもん。そんな時、はっと目についたのが「モルディブ **トン ホテル ジャパニーズスタッフ」の文字。何度見てもどこにも「NATIVE」とは書いてない。「モルディヴって確か南の島だよね!一度南の島に住んでみたい」ちょっと前に出張で初めてハワイに行った私はすっかり南の島が気に入って、安直に住みたいなーなんて考えてました。早速連絡先に電話してみると「今モルディブ**トンの総支配人が出張で日本に来てるんだけど、あさって帰っちゃうから、明日急いで面接に来られるかな?」ということだったので、次の日に面接に向かいました。その前にモルディブがどこにあるのかわからなかったので、本屋に寄って地図を立ち読み!なるほど、インド洋!

面接ではオーストラリア人の総支配人と楽しく話をした、という感じで終わり、後で携帯に連絡をくれるとのことでした。次の週、仕事で展示会のナレーションを終えた時、携帯に番号否通知の電話が!モルディブからの仕事採用の電話でした。「それじゃあ来週あたりこっちに来てくれる?」明るく言う人事マネージャーの声に「ええ~!?来週~!?」もちろん、そんな早くは行けませんでしたけどね。海外での就労ビサを取るために日本の警察から無犯罪証明書をもらわなければならなくて、それが2週間くらいかかるんです。部屋も引き払い、荷物をまとめて実家に預け、泣く泣く猫をもらってもらい、出発するのに一ヶ月かかりました。

そしてモルディブ**トンのジャパニーズゲストリレーションとして働くことになりました。ちなみにロビちゃんは私がいたデスクの隣のレストランで働いていたんですねー。どこにあるかも知らなかった国がこんなに身近になるなんて、人生はおもしろいです~。

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